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エリザベス1世

メアリー1世

メアリー・テューダー

  • 反動

戴冠式の4日後に、即位して2度目の議会が招集される。そこでメアリー・テューダーは、「礼拝統一法」とエドワード6世時代の全ての宗教政策を廃止。それだけではなく、ヘンリー8世とキャサリン・オブ・アラゴンの結婚が有効であり、自分を嫡子と認めさせる法律も裁可させる。これによりイングランドのカトリックへの揺り戻しがより明確になり、同時にエリザベスが庶子であることが浮き彫りになった。

これだけにとどまらず11月25日、メアリー・テューダーは皇帝特使シモン・ルナールとウィリアム・パジェット卿に諮り、王位継承に関してエリザベス外しを露骨に始める。女王はレディ・マーガレット・ダグラスを自分の次の王位継承者にしてはどうかと、二人に諮る。この女性はヘンリー8世のマーガレットが、二人目の夫アンガス伯との間に成した子供で、今はスコットランドに反逆した親イングランド派貴族レノックス伯と結婚してイングランドに住んでおり、当然宮廷にも出入りしている。

当然ながらこのような恣意的な形で王位継承順位を変えることは難しい。枢密院や議会と一戦交えるぐらいの覚悟がなければ出来ない。そもそもメアリー・テューダー自身がほんの3,4か月前に、やはり恣意的に王位継承から自分を外そうとしたジョン・ダドリー卿のクーデタに打ち勝って、王位に就いているのである。立場が入れ替われば同じことをやる、というのでは示しがつかないであろう。

だが何故ここまで執拗に、エリザベスを外そうとするのか?メアリー・テューダーのことだけについて言えば、個人的な怨恨や嫉妬が動機になっている面が強い。自分の母を王妃の座から追い落とした、憎きアン・ブーリンの娘。しかも出来損ないのような娘であれば気に掛けることもないが、若くて容姿と振る舞いには華やかさと威厳があり、しかも利発で頭が切れると来ている。これは推測であるが、「年齢以外は全て自分が負けている」という嫉妬、そして自分の地位が脅かされるかもしれない恐怖心を感じていたのではあるまいか。

(次回に続く)