バックナンバーをご覧になりたい方は、画面右上「カテゴリー」欄の「物語」をクリックしていただければ、読むことが出来ます。

清く図太くしたたかに!

3日で読めるトップが強運であり続けるための『人間学読本』

ヨーロッパ英雄史小説作家・小園崇文です。

デキるリーダーは歴史に学ぶ!ヨーロッパ史を図太くしぶとく生き抜いた強運な王たちの物語

前回までの4回の連載で、「大愚図皇帝」フリードリヒ3世の、愚図ながらもしぶとく図太く強運な人生をご紹介しました。

さてこの「大愚図皇帝」フリードリヒ3世。現代で言えば「お金も能力も人脈もない」中で起業してしまったようなこの人物が、数多のライバルを蹴落として、と言うよりも上手くすり抜けて、最後の最後で「勝者」となってしまった要因は、一体何なのでしょうか?

健康
まずは何と言っても、健康で頑健な身体の持ち主だったこと。まだ医学が未発達で、衛生環境も悪く、従ってペストや疫病も流行しやすいこの時代において、78歳という驚異的な寿命を保ちました。この過酷な時代状況を考えれば、単純に比較はできませんが、現代なら100歳まで生きたのと同じぐらいの意味があります。

他のライバルたちが30代・40代の働き盛りで「さあ、これから!」という時にあえなく死んでしまったのに比べると、その寿命の長さは特筆すべきものがあります。元々が頑健な身体に恵まれたというのもあるのでしょうが、それに加えて本人の自助努力らしき話も一つ紹介。

食事は主に野菜と豆類しか食べなかった、ということです。健康に気を使ってのことなのか、食事代をケチってのことなのかは定かではありませんが(恐らく後者…)、肉類は生涯ほとんど口にせず質素な食生活を続けたことが、持って生まれた頑健な身体をより強靭なものにしたと考えられます。

能力に恵まれても、その生涯が短かったためにそれほどの業績を残すことが出来なかったライバルたち。それに比べて、能力はほとんどゼロ!と言って良いのに、健康な故に長生きして、早死にしたライバルたちを尻目に三度もウィーンに返り咲いて、「神聖ローマ帝国皇帝」として天寿を全うしたフリードリヒ3世

この人の人生を見る度に、『種の起源』の著者、イギリスの自然学者・ダーウィンの言葉が思い起こされます。

生き残る種とは最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。

恐竜が絶滅したのはなぜか?環境の変化に適応できなかったから。手強いライバルたちが先に死んでいったのはなぜか?流行する疫病にかかって病死した人もいれば、トップに就いた途端に横暴な振る舞いをして暗殺された人もいます。これひとえに「環境の変化に対応できなかったから」。そしてもう一つは…

逃げ足の早さ
とにかくピンチに陥ったら、恥も外聞も捨てて逃げました。実力的にはどう見ても勝てっこない相手とは、徹底して戦わないで、ただひたすら逃げました。誰にどう言われようと笑われようと逃げました。逃げる時の駆けっこだけは誰にも負けませんでした(笑)
ですがこの「勝てない戦はしない」「戦わないで勝つ」「勝たないまでも少なくとも負けない」という姿勢。実は多くの一流経営者が愛読する中国古典「孫子の兵法」にも書かれている、とても大事なことです。
ただ前に突っ込むだけが能ではありません。勇ましさに任せて無理に戦って討ち死にしては、元も子もありません。ましてや無能な「大愚図皇帝」フリードリヒ3世がそんなことをしたら、どういうことになっていたか…?結果は火を見るよりも明らか。

「勝てない、無理だ」と判断したら、無理せずさっさと退散。そして態勢を立て直して再起を期す。自分の時が来るのを待つ。

これ実は、ビジネスでも大事なことです。採算の合わない事業や企画をいつまで続けるのか?「一度始めた手前、なかなか止め辛いよな~」と周りの目を気にして止められずに、ますます泥沼にはまっていく…。

そんなことになるより、「ダメだ、こりゃ」と判断したら撤退すればいいんです!そしてまたやり直せばいい。勇気や潔さ、と言った美名に惑わされて退くに退けずにいると、もっと状況は悲惨になります。

登山では登る勇気よりも、悪天候になった時に迷わず下山する勇気がより必要とされます。洋の東西を問わず最後に勝った者は皆、「逃げ方が上手かった人」です。ヤバい時には、恥も外聞も捨てて逃げましょう(笑)

以上で、「大愚図皇帝」フリードリヒ3世の紹介を終わります。ナポレオンのように一般受けする人物ではありませんが(笑)、この人がこの時代の「最後の勝者」であったことは間違い事実。しかも学べることは「健康」と「逃げ足の早さ」。それほど能力がなくても学びやすいこと。特に今、あなたが苦境に立たされているとしたら、この「大愚図皇帝」フリードリヒ3世のことを少しでも思い出してみてください。「こんな人でも何とかなったんだからオレも…」きっと勇気づけられるはずです(笑)。その一助になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!