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ヨーロッパ英雄史小説作家・小園崇文です。

デキるリーダーは歴史に学ぶ!

ヨーロッパ史を図太くしぶとく生き抜いた強運な王たちの物語

煮ても焼いても食えない「狐おばさん女王」・エリザベス1世①・②・③・④

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エリザベス1世

●姉による「パワハラ」

メアリー1世が即位した1553年。この時メアリーは34歳。一方エリザベスはちょうど20歳。「女は30過ぎてから!」とも言います。一概に若ければいい、というものでもありません。しかしメアリー1世。子供の頃からの苦労が顔ににじみ過ぎていて、ひいき目に見ても女王としての「華やかさ」には、イマイチ欠けていました。「私はこれだけ苦労して頑張ってきたんだから…」とそれを鼻にかけてしまうタイプ。気持ちは分かりますが、それが表に出過ぎると他人の反感を買います。対してエリザベスは20歳ながら女王に即位した姉を立てて、あまり出しゃばった振る舞いはしない。これまでの経験から、「余計なことして目立つと、姉の妬みを買って余計なストレスを抱え込む」ことが分かっていますので、内心はともかく上辺はおとなしく謙虚な振る舞いに徹しています。それが逆に見物の群衆や外国の大使に好印象を与え、「どちらが女王かわからない」という評価に繋がります。

こうなるとメアリー1世は面白くありません。ある意味、自業自得な部分もあるのにそれは脇に置いて、エリザベスに対する嫉妬・妬み・反感がメラメラと湧き上がってきます。「あなたの母親のせいで私も私の母も酷い思いをした…」。子供の頃から抱き続けてきた筋違いの逆恨みが根っことなっているエリザベスへの複雑な感情は、この一世一代の晴れ舞台で決定的な「復讐の鬼」と化します。恨み妬みの感情の怖ろしさに、男女の違いは関係ないようです。

それに加えて両者の間にはより深刻な問題、信仰の違いがありました。エリザベスは幼少期に父ヘンリー8世がイングランドを「新教の国」にした影響もあり、プロテスタントとして育ちます。一方のメアリー1世はスペインから嫁いできた母キャサリン王妃の影響もあり、ガチガチのカトリック信者。イングランドが「新教の国」に変貌していく中でも頑なに信仰を曲げなかった強者。「自分が女王に即位したら再びカトリックに」という信念を密かに持ち続け、今それを実現できる地位を手に入れました。

信仰の違いと個人的な恨み。この両者が合わさって、メアリー1世のエリザベスに対する「パワハラ」がいよいよ本格化します。まず女王即位と同時に一番初めに手がけたことが、父ヘンリー8世と母キャサリン王妃の結婚を正式なものとする法律を施行。ヘンリー8世は離婚に当たって、「キャサリンとの結婚は近親婚に当たり、正統ではなかった」という屁理屈を打ち立てました。それをメアリー1世は正統な結婚と再評価。これによりそれ以後のヘンリー8世の結婚、特にエリザベスの母アン・ブーリンとの結婚は正当な結婚とはならず、つまりエリザベスは庶子、俗な言い方をすれば「愛人の子供」となり、王位継承権が危ういものとなります。こうしてエリザベスの地位を貶めた上で、12月5日にプロテスタントの礼拝を違法化。

メアリー1世.jpg

メアリー1世

こうしてイングランドを再びカトリックの国に戻そうとするメアリー1世に対して、即位当初は熱狂的に支持した市民も、段々と気持ちが離れていきます。そしてメアリー1世の不人気を決定的なものにしてしまったのが…。

スペイン王太子・フェリペとの婚約。この当時のスペインはアメリカ新大陸にまで領土を持つ超大国。しかも信仰は、メアリー1世の祖父母に当たるイサベル&フェルナンドのカトリック両王に代表されるように、ガチガチのカトリック。スペイン本国ではカトリックの本家を自負して、新教徒や異教徒に対する「異端狩り」が激しく行われ、多くの亡命者がイングランドにも来ていました。そのスペインのフェリペ王子とメアリー1世が結婚したら、イングランドでも新教徒は弾圧されるのでは?この恐怖心から、メアリー1世の不人気は決定的となりました。

そして翌1554年1月に正式に婚約。子供の頃からカトリックを生真面目に信仰し、修道女のような生活を送ってきたメアリー1世。おそらく本当に「男性を知らなかった」と思われます。そんな彼女はフェリペ王子の肖像画を見せられた途端に…、イチコロ、一目惚れ。それまでは自分より11歳も年下であることを心配していましたが、肖像画を見たらそんな心配は一気に吹っ飛び、「早くこの方とお会いしたい!」という、まるで「白馬の王子様」を待ち焦がれるか弱き乙女のようになってしまいました…。

ですがこの女王とフェリペ王子の婚約に危機感を持った新教徒たちが、「ワイアットの乱」と呼ばれる反乱を起こします。しかしこの反乱をメアリー1世は即鎮圧。こういう時のメアリー1世の激しさは半端ではない。すぐさま反乱の首謀者たちを処刑。断固たる意志と行動力。実のところ、メアリー1世。母方の血筋はスペイン王室に繋がる影響からか、イングランド女王とは言いながらも「頭と心はスペイン人」としか思えないようなことを次々と行います。この後の即位期間中も、一目惚れしてしまった夫フェリペの半ば言いなりで、イングランドを深刻な危機に陥れることになるのですが…。

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フェリペ2世

さて一方、この間のエリザベスですが、姉に「庶子」扱いされた上に、昔のことから今のことから、あることないことまでネチネチと行われるメアリー1世の「口撃」によって、ホトホト心身を害してしまい。またもや地方への「隠棲願い」を出します。大体メアリー1世との関係が悪化する時の行動パターンは、「パワハラ」⇒「体調不良」⇒「地方に隠棲」⇒「呼び出し」というものになります。そういつも都合よく(?)体調不良にという気もしますが、これも自分の身を守るための「逃げの一手」。ましてや相手は今や絶対の権力者。下手に長いこと一緒に居たりすると、ますます自分が精神的に病むか、カッとなって歯向かって…、ということになる恐れも。それなら逃げておいた方が得策。「逃げ」は決して恥ずべきことではなく、立派な作戦です。

隠棲しながら好きな学問をして、久しぶりに穏やかな時間を過ごすエリザベス。ですがそのエリザベスにまたもや危機到来。反乱の首謀者であったワイアットが、何とエリザベスに協力願いの手紙を送っていたことが発覚。これによって反乱への加担を疑われたエリザベス。せっかくの隠棲を切り上げて、またもやメアリー1世から召還を受けます。今度こそ本当に絶対説明なのか…?

続きは次回に。また1週間後の配信です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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