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メアリー1世

●嵐のようなメアリーの5年間

メアリー1世の花婿としてイングランドにやって来たフェリペ王子。容姿は端麗。仕事ぶりは至って真面目。後にスペイン国王に即位してからも、毎日書類の山の中に埋もれて、全ての事柄を自分で決裁していた超・真面目人間。そんなフェリペ王子にメアリー1世はますますゾッコンとなります。

そのフェリペ王子が、エリザベスに対してパワハラをし続けるメアリー1世の宥め役に。その理由は、万が一自分とメアリー1世との間に子供が産まれなかった場合、王位継承権がフランス王妃であるメアリー・ステュアートに移る可能性があります。このメアリー・ステュアートは後年、エリザベスにとって大いに危険をもたらす人物になります。系図をたどるとメアリー・ステュアートの祖母がヘンリー8世の姉マーガレット。曽祖父はヘンリー7世でヘンリー8世の父。つまりは「庶子」扱いを受けているエリザベスよりも由緒正しい血筋、と見れないこともありません。そしてこの時フランス王妃になっているメアリー・ステュアートがイングランド女王にまでなると、スペインにとっての最大の敵国・フランスの勢力が格段に増すことになるので、それを避けるためにはエリザベスを活かしておいた方が良い、という深謀遠慮からフェリペ王子はエリザベスを大事にするようメアリー1世に進言します。もっともこういった理由だけではなく、「一人の女性」としてメアリー1世よりもエリザベスに好意を抱いていた、という説もありますが…。

そんなフェリペ王子の口添えもあり、エリザベスは相変わらずメアリー1世のパワハラに悩まされながらも、命の危険だけはどうにか免れるようになります。そしてこのメアリー1世の時代は、エリザベスにとってのみならず、イングランドの国にとっても「災厄」と呼べるような時代。まずカトリックの大国スペインの王太子と結婚したことで、国民の人気はガタ落ち。極端なカトリックへの揺り戻しに加えて国民が最も恐れていた出来事、「異端狩り」の嵐が吹き荒れ、新教徒プロテスタントに対する猛弾圧。後に「ブラッディ・メアリー」(血まみれのメアリー)としてカクテルの名前にまで残った彼女のありがたくない異名は、この出来事によって付けられました。

メアリーとフェリペ.jpg

メアリー(左) フェリペ(右)

そんなメアリー1世にも1554年の暮れごろに懐妊の兆候が。この時代の女性にとって妊娠は、今よりもはるかに危険なこと。衛生環境がはるかに劣悪な中では、産褥によって命を落とす女性が多数。妊娠した女性は、遺書を書いて「女の使命」に臨みました。しかしここで元気な男子が生まれでもすれば、メアリー1世にとっては自分のお腹を痛めた我が子がイングランド王に、フェリペ王子にとってもイングランドがスペインにとっても勢力圏としてより強固に確立されるので、本当に「神に祈るような」思いで男子の誕生を待ち望みました。

が…。そんな夫婦の期待も空しく、子供は産まれず。そもそも男子か女子か?という以前に、「想像妊娠」という、ご懐妊すらしていなかったことが明らかに。健康不良やホルモンバランスが崩れたりすると、たまに現れるようです。メアリー1世の落胆ぶりはさぞや。一方夫のフェリペ王子はというと、妻メアリー1世の出産がないと分かるや、すぐさま「冷徹に」態度を切り替えて、父である神聖ローマ帝国皇帝・カール5世からの呼び出しもあり、ネーデルラントへと向かいます。

政治と相次ぐ戦争に疲れ果てたカール5世は1555年、自分の所領を分割相続。スペイン本国とイタリアの一部、新大陸は息子フェリペ王子に。神聖ローマ帝国皇帝の位は弟フェルディナンドに。これによってフェリペは正式にスペイン国王フェリペ2世となります。

スペイン国王を引き継いだフェリペ2世には、父から受け継いだフランスとの戦争もありましたので、この後は妻メアリー1世の元に戻るのは女王が死ぬ1558年までの間にわずか2回。しかもその2回帰った目的は、フランスとの戦争継続のための資金援助と派兵要請。つまりは「お金のたかり」。

一国の女王としては、「ダメよ!」と夫を諭すべきでしたが、メアリー1世こんなことがあっても哀しいまでにフェリペ2世に対しては、盲目的な愛情を抱いてしまい、無理を承知で資金も出兵も貸し出します。おかげでフェリペ2世はフランスを撃ち破って和平を確立するという大戦果を挙げますが、イングランドは唯一大陸への足場として残っていたカレーを失うという大失態。夫フェリペ2世にそそのかされて決行したメアリー1世の戦争。イングランドにとっては何ら得るもののない、踏んだり蹴ったりの結末となりました。

エリザベス1世②.jpg

そして1558年、メアリー1世はいよいよ人生の最期の時を迎えます。死の数日前に渋々ながら、エリザベスを後継者に指名。そして1558年11月16日に死去。即位した時は反乱鎮圧など勇ましい面が出ましたが、その後は新教徒弾圧、無謀な戦争、そして義妹に対するパワハラ…。メアリー1世の5年間は時計の針は逆に戻して大混乱に陥れただけの「嵐の時代」でした。最期に「天使が目の前で唄って」いたのが、せめてもの幸せだったか?

ですが遂にこれで、本編の主人公エリザベスが女王として即位することになりました。母の処刑、監禁、投獄、義姉のパワハラ…。25歳にして数々の苦難をしぶとく生き抜いて、遂に王位に就きました。そのエリザベスが荒廃したイングランドを立て直すために、どのような手腕を見せていくのか?

続きは次回に。また1週間後の配信です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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