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●恋に仕事に、大忙しの「最初の10年」

エリザベス1世が、おそらくその生涯で一番愛したであろう男性は、ロバート・ダドリー卿。少し時間をさかのぼりますが、メアリー1世即位を阻止しようと反乱を起こし、結局失敗して処刑となったジョン・ダドリー公爵の息子。言わば「反逆者の息子」。

何でまた、そんないわくつきの男に恋したか?このロバート・ダドリー卿とは年齢も同じ。しかも「ワイアットの乱」への加担を疑われて、ロンドン塔に投獄されていた時に一緒に投獄されていたのがロバート・ダドリー卿。言ってみれば幼なじみにして、「同じ臭い飯を食った」仲。おまけに宮廷に入れば多くの女性が放ってはおかない色男。エリザベス1世、男の趣味に関してはかなりの面食い、イケメン好き。この後何人か現れる「愛人」候補も、共通点はイケメンだが中味は少し曰くつき、という人ばかり。

こんな経緯からロバート・ダドリー卿を寵愛するようになったエリザベス1世。主馬頭という女王のお近くで色々と用事をこなす役職に抜擢して、なるべくロバート・ダドリー卿が自分の近くにいるように計らいます。完全なる情実人事。ですがある時から「結婚はしない」と自分の心の中では決めていたエリザベス1世。せめて傍近くに好みのイケメンを置いて目の保養、失われ、そしてもう二度と味わうことはないであろう「青春」の気分に浸りたかったのでしょうか…。

ロバート・ダドリー卿

もちろん、女王の傍近くに「反逆者の息子」がいて、しかも「事実上の愛人」のように見られていることを快く思わない人もいます。その筆頭は宰相ウィリアム・セシル。何度となく女王に「彼だけはやめておいた方が…」とそれとなく御注進しますが、例によってエリザベスは「のらりくらり」。そこは「したたかな」エリザベス1世。ロバート・ダドリー卿と本気で結婚する気はなく、ウィリアム・セシル宰相と競わせることで、二人を自分の治世のために上手く働かせた、と見られる節もあります。若いのに似合わず、人使いが巧みな一面もありました。

それでもロバート・ダドリー卿を愛する気持ちは本気だったようで、エリザベス1世が死の直後、枕元に置かれていたのはロバート・ダドリー卿からの手紙でした…。国内外ともに難問山積、激動に次ぐ激動の中で、女王の一服の清涼剤になっていたことは間違いないようです。

こうやってエリザベス1世が、身近にイケメンを侍らせて自らの癒しとする必要があるほどに、即位した直後の1560年代イングランドを取り巻く状況は大変。国内ではイングランドの「新教の国」に変えていこうとするエリザベス1世の命を狙おうと、国内外のカトリック信者が暗殺を企て、気の休まらない日々。1562年には天然痘にかかり、危うく死にかけるも何とか恢復。挙句の果てには1570年、ローマ教皇により「悪魔の召使」呼ばわりされて破門されてしまい、それでますます「エリザベス暗殺計画」は活発に。お隣のスコットランドでも同様に宗教対立があり、イングランドは密かに新教徒側に資金と武器を援助。

ステップメール用

1500年代のヨーロッパ

諸外国の情勢を見ると、フランスではイングランドよりももっと激しい宗教対立があって内乱状態。それに付け込んだスペインがフランス国内のカトリック勢力と結んで、影響力を確実に増しつつありました。海を隔ててすぐのネーデルラント(現オランダとベルギー付近)でもやはり宗教対立が深刻化し、カトリック盟主として乗り込んだスペインの将軍がこの地で血の弾圧。それに抗議してますます新教徒の反乱が激化。

このネーデルラントの地にスペイン軍が大量にいることは、それだけでイングランドにとっては国防上の重大な脅威。それ故、エリザベス1世はスペインを刺激しないように、陰に隠れてコッソリとネーデルラントの新教徒に資金・武器援助を行います。エリザベス1世のキーワードはあくまで「のらりくらり」と「コッソリ」。しかしやがてこの秘密裏の援助も露見し、しかも「教皇から破門された女王」ということもあり、さらに命を狙われます。この数々の暗殺計画は、側近ウォルシンガム卿が国内外に張り巡らせたスパイ網により未然に防ぎます。エリザベス1世、側近には恵まれています。これも「強運」の持ち主の条件の一つ。

こうやって間一髪のところで暗殺を免れたり、国内外の新教徒を「陰に隠れて」目立たぬように支援したりと、エリザベス1世には気持ちの安らぐ暇がありません。イケメンを傍に居させて、気持ちの安らぎを得たい気持ちも分からないではありません…。こうして若干25歳でイングランド女王に即位したエリザベス1世の「最初の10年間」はあれよあれよという間に過ぎていった激動の時期でしたが、そんな女王の前に更なる、そして生涯最大の宿敵となる女性が現れます。それは…

続きは次回に。また1週間後の配信です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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