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メアリー・ステュアート

●生涯最大の敵

1568年、エリザベス1世にとって最大の厄介ごと、問題児が転がり込んできます。その名はメアリー・ステュアート。隣国スコットランドの女王。何でこの人が生涯最大の敵となるのか?簡単にメアリー・ステュアートの生涯を振り返ってみると…。

1542年スコットランド生まれ。父ジェームズ5世の戦死により、生後わずか6日で即位。一時はエリザベス1世の義弟エドワード6世と婚約するも、エドワードの死によりご破算。その後6歳で同盟国フランスに渡り、16歳の時王太子フランソワと結婚。1559年フランス王アンリ2世の死により、夫がフランソワ2世として即位。フランス王妃となる。しかしフランソワ2世が病弱で、わずか1年後に死去。この後、国王の母カトリーヌ・ド・メディシスという人との政争に敗れ、後継ぎを残せなかったこともあり、追われるようにしてスコットランドに帰国。しかし国内はカトリックと新教徒との争いで大混乱。おまけに男を見る目がなく、結婚する相手が次から次へと問題児。そうこうしているうちに、イングランドの支援で力を得た新教徒の勢力に押し込まれ、国内にも居られなくなり、イングランドに亡命してきたのが1568年のことです。

ここまでサラッと書いただけですが、実際にはこれ以上にメアリー・ステュアートという人、激動の人生を送ってきています。で、この人がなぜエリザベス1世にとって「生涯の敵」となるのか?それはこの女性の血筋。

前にも書きましたが、このメアリー・ステュアート、ご先祖をたどっていくと祖母がヘンリー8世の姉マーガレット、曽祖父がヘンリー7世。つまりは「愛人」とされてしまったアン・ブーリンの娘エリザベス1世よりも血筋的に由緒正しい、と見る向きもある。しかもスコットランドに帰国して再婚した相手が、イングランドの貴族ヘンリー。この人もまたヘンリー8世の姉マーガレットの孫。いとこに当たる人。ますますイングランドの王位継承権が強まる。しかもこの人との間に男子まで生まれている(この子が後に重大な意味を持ってきます…)。しかもメアリー・ステュアートは、ガチガチのカトリック信者。国内のカトリック勢力が「彼女を国王へ」と勢いづくのが必死。

一時期、フランス王のアンリ2世も「メアリーこそ正統なイングランド王位継承者」とエリザベスの即位に難癖をつけてきたこともあります。ローマ教皇に何かと因縁を付けられているエリザベス1世。メアリー・ステュアートをダシにして、またも諸外国が自分の王位にいちゃもんを付けてくるかもしれない…。と、色々な意味でこのメアリー・ステュアートはエリザベス1世にとって厄介の種。義姉のメアリー1世といい、このメアリー・ステュアートといい、エリザベス1世にとっては「メアリー」という名前の女性が問題を運んできます。

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ですが亡命してきた女王を、そう無下に扱う訳にもいかず、仕方なくロンドンから遠い所に住まわせておいて、しばらくの間様子を見ます。それもボロ屋敷ではなく、それなりに立派な屋敷に住まわせて、衣食住には全く不自由しない、亡命者とは思えないような生活をさせて。

スコットランドで新教徒に圧迫されていた時に比べたら、はるかに平穏でのんびりした生活を謳歌できるようになったメアリー・ステュアート。しかもかつてはフランス王妃だったこともあり、フランスからも寡婦年金をもらっています。その生活に満足して余計なことに首を突っ込まなければ良かったのですが、この女性、どうも平穏な生活は性に合わない。生まれついての能力はひょっとしたらエリザベス1世よりも上かもしれないが、どうもその能力を上手くコントロールできない。感情と勢いに任せて突っ走ってしまう悪癖がある。ここでもせっかく亡命を受け入れてくれたエリザベス1世の顔を立てて黙っていればいいのに、たまに何かのきっかけで「正統な王位継承者は私」と、余計なことを口走ってしまう。その言葉につられて反エリザベスのカトリック信者や諸外国が彼女に言い寄って来て、ますます厄介な立場に自分を追い込んでいきます。

そんなメアリー・ステュアートを、エリザベス1世は本心では「厄介な女が転がり込んできた」「人の気も知らずに好き勝手ばかり言って!」と絞め殺してやりたい気持であったでしょうが、その感情は押し殺して寛大な心で泳がせておきます。外国の君主を処刑となれば、国内外でどれだけ自分に対する反発が起こるか分かったものではないから。

エリザベス1世にとっては、どれだけメアリー・ステュアートが喚こうが、言ってみれば「籠の中の鳥」。このまま放っておいて情勢の変化を待つ、というエリザベス一流の「のらりくらり」戦術で乗り切る腹積もりだったのですが、どうもイングランドを取り巻く国外情勢がそれを許さなくなりました。

 

続きは次回に。また1週間後の配信です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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